Jung_Brass_Collectionの日記

古き良きブラスアンサンブルの魅力を伝えたく、楽曲をアレンジし紹介させていただきます。特に、若い世代の方にはこのような素晴らしい楽曲があったんだと認識いただき、アラフォー以上の世代の方は学生時代を懐かしんでいただければ嬉しいです。それと、趣味のトランペットに纏わるアレコレも徒然なるままに。

【音楽雑感】AR Resonance マウスピース

トランペット吹きには2種類の人種がいて、一つはマウスピースを殆ど変えず本命一本でずっと吹いている人たち、もう一つはマウスピースの沼と呼ばれるものにはまって何本も買い替えコレクションがたまってくる人たち。僕は後者で、もう50本近く転がってるんじゃないだろうか。マウスピースだけでラッパ2~3本買えるくらい投資してしまっていて、それでも未だ買おうとしてしまう。

暫くマウスピース購入熱も下がっていたんだけれど、今日、友人にこれまでで最高のマウスピースと言われ吹かせてもらったのがAR Resonance。確かにイイ。これまでにない感覚。ずっとBachでいう1Cくらいの大きいのを吹いていたんだけど、だんだんキツくなって3Cくらいに戻したいなと思っていた矢先。小さくすると窮屈で唇が振動しにくくなるので、なかなか戻すことができていないところ、このAR Resonance、3Cくらいの大きさなのに窮屈じゃなく、よく振動する。確かにイイ。しかもカッコイイし。でも、これ、2ピースで、カップで2万円、バックボアで2万円なんですと。ちょっと簡単には手を出しにくいんだけど、きっと出してしまうんだろうなぁ。。。。

 


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【ラッパの吹き方考察】息の吐き方について(1)柔らかい音、張りのある音

学生時代に習った方法は、寒い日に手を温めるような暖かい息を出すこと。喉を大きく開けてベルカント唱法のようなイメージで、ということだった。

社会人になった頃、一部の間で、藤井完氏のベルカント奏法というのが流行って、学生時代からやってきたことは間違ってなかったんだ!とのめり込んでいったことを今でも覚えています。

この奏法、音色がとても柔らかくて美しくなるんです。小さなよく響く部屋で吹いたらプロよりもいい音?と錯覚するような。そう、正に錯覚。

先生について正しくベルカント奏法を身に付けていたら別かもしれないけど、文字だけ追って自己流でやってると、きっと本質を掴めていなかったのでしょう、やはり、幾つかの問題を抱えていました。

一番の課題は、そば鳴りしかせず、遠くまで音が届かないこと。そりゃそうです、暖かい息=スピードのある息ではありません。なのに大きな音を出さなければと無理矢理大量の息を入れる感じで。吹いてる自分はよく聴こえるけれど、離れたところで録音すると自分の音は周りに埋もれて聴こえない。疲れるし音は届いていないしで、何と効率の悪いことか。

逆に考えて、要は、スピードのある息を出せば解決することは頭では分かってはいたのですが。でも、そうすると、あの柔らかな音を捨てなければならないのかと煮え切らない思いで。先にも紹介しましたロルフ・スメドヴィク氏、めちゃくちゃ柔らかい音を出す時もあれば、ハリのある輝かしい音もだす。きっちり吹き分けられてるんですよね。そこに注視するべきでした(いや、スメドヴィク氏ともなると、柔らかい音でかつ遠くに届いているはずではありますが)。今の吹き方はこれはこれとして自分の引き出しにしまっておいて、張りのある遠くに届く音をどうやって吹くかに絞って考えることにしました。

 

◆スメドヴィク氏の溶けるような柔らかな音!


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◆一方で、張りのある輝かしい音!


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【楽譜出版】Chaconne from Partita No.2 in D minor , BWV1004 (パルティータ第2番ニ短調 BWV1004 より シャコンヌ) / Johann Sebastian Bach(バッハ)

表題の楽曲を金管八重奏版(Trpx3 , Trbx3 , Hrnx1 , Tubx1)のアレンジをし、ミュージック・ベルズさんより出版いただきました。

 

【楽譜購入はこちら】金管八重奏版

【楽譜購入はこちら】トランペット五重奏版

【楽譜購入はこちら】ユーフォニアム・テューバ四重奏版

 

ヨハン・セバスティアン・バッハが作曲した「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004」の終曲「シャコンヌ」。宗教音楽ではありませんが、どこか厳粛で敬虔な気持ちにさせられる大バッハならではの素晴らしい作品です。

原曲は無伴奏ヴァイオリンのための楽曲。しかし、その素晴らさに、後の音楽家が様々な楽器、編成でアレンジしていることで知られています。例えば、ブラームスブゾーニがピアノ用に、ストコフスキーがオーケストラ用にアレンジしたものが有名で、一本のヴァイオリンの楽曲がこれほど多彩に広がるのかと音楽の可能性を感じずにはいられません。このアレンジをするにあたり、50種類くらいの様々なアレンジ、演奏を聴いて勉強しましたが、それぞれが全く違った解釈で、これもまたバッハ作品の懐の深さだと思いました。

今回はブゾーニのピアノ版を参考に金管八重奏、トランペット五重奏、ユーフォニアム・チューバ四重奏にアレンジしました。原曲は15分以上の演奏時間ですが5分弱に抜粋しまとめましたので、アンサンブルコンテストでも使っていただけます。

 

【参考音源】

金管八重奏版(私がアレンジしたMIDI音源


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◆トランペット五重奏版(私がアレンジしたMIDI音源


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ユーフォニアム・チューバ四重奏版(私がアレンジしたMIDI音源


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◆ピアノ / ブゾーニ編曲版


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◆オーケストラ / 齋藤秀雄編曲版(小澤征爾指揮/ サイトウキネンオーケストラ)


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◆オーケストラ / ストコフスキー編曲版


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吹奏楽/ 磐城高校吹奏楽部(吹奏楽コンクール全国大会にて)


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金管アンサンブル / London Brass


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◆トランペットアンサンブル / The Most


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◆トランペットアンサンブル / Marco Pierobon 多重録音


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【ラッパの吹き方考察】アンブシュアについて(2)新たなセッティングでリセット

パッカータイプという微かな光が少し見えてきたけれど研究はずっと続きます。そして漸く見えた本当の光が木本大さんのYoutube動画。「トランペット4オクターブ奏法の原理」という凄いタイトル。これをマスターすればペダルからDoubelHiまで4オクターブ吹けるらしい。。。。ほんまかいな。。と、物は試しに視聴。70歳を過ぎた白髪の方が説明している。説明というか、彼の人生の物語が続くような。若い頃にヨーロッパに飛んでジャズの道を歩まれてきたそうで。なかなか面白い話。しかも、この後、続編の動画がいくつかあって、へぇ~、こんな人生もあるんだなぁって、ついつい聞き入ってしまう。

って、どこが4オクターブも出せる原理やねん!ってツッコミを入れたくなるような動画だけれども、08:30~15:00くらいのところが一番のエッセンス。アダム・ラッパ氏のパッカータイプの説明をより嚙み砕いて説明してくれています。要点は

◆口は絶対に横に引かないこと!=スマイルタイプはNG

◆唇の形はフゥ~とロウソクの火を消すような形

◆アパチュア(アンブシュアを作った時の息の通り道)は高音にいけばいくほど小さく

◆マウスピースの反対側を咥えてフゥ~っと息を出す練習をするとよい。

◆唇は真ん中に集めるつもりで

◆中低音をしつこく練習。高音はその先にあるので後でいくらでも出る。

※動画を見続けていると、部分部分で大切なエッセンスがちりばめられていますので、最後まで、何度も見ることをお勧めします。

 

なるほど。アダム・ラッパ氏の理論と同じようで、とても具体的に、かつ動画で説明してくれているので、より分かりやすい。やっぱり方向性は合っていたんだ!と、早速真似をして吹いてみたら、ビギナーズラックか、いきなりHiGくらいまで出て驚いた(本当にビギナーズラックで、翌日からはそんな音鳴らなかったけど)。ということで、木本大氏の理論を信じて今に至っています。

スマイルからパッカーへの変更。唇の振動する部分も変われば、マウスピースがあたる部分も変わるし、違和感がいっぱい。だけど、何故か、これは絶対に間違いがないっていう根拠のない自信が生まれ、それを信じて毎日コツコツとロングトーンやその他基礎練習を続けて、まず慣れることからスタート。3か月位経った頃に漸く曲もそれなりに吹け、ゆっくりと丁寧に吹けば、最初から最後まで休まずに吹ける。もう目標達成じゃないですか!しかし、インテンポで吹くと、楽譜に噛り付き以前の吹き方に戻ってしまう。まだまだ修行ですな。これでは目標達成とは言い難く、自分のモノになるようにコツコツと練習を重ねている状況です。

 

はい、ということで、アンブシュアは木本式でいくことに決定です。スマイルからパッカーにリセット!しかし、アンブシュアを変えるだけでは解決にはなりません。次は息の吐き方について考察を進めてみたいと思います。

 

◆木本氏の動画です。僕はこの動画で救われました。結構有名になってるようで、今、久しぶりに見たら、再生回数が6万回を超えている!楽器のHow To系の動画としてはかなりの再生回数じゃないでしょうか。


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【楽譜出版】The Earle Of Oxford's March(オックスフォード伯爵のマーチ) / William Byrd(ウィリアム バード)

表題の楽曲を金管八重奏版(Trpx3 , Trbx3 , Hrnx1 , Tubx1)のアレンジをし、ミュージック・ベルズさんより出版いただきました。

 

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1500年代後半から1600年代前半にかけてイギリスで活躍したルネサンス音楽の作曲家 ウィリアム バードの作品です。

1970年代にフィリップジョーンズ・ブラスアンサンブルが金管十重奏にアレンジした作品が有名で、この楽譜を八重奏にアレンジして、やはり1980~90年代のアンサンブルコンテストで大流行しました。

マーチといっても非常に重厚で高貴な印象の作品で、まさにイギリスの伯爵をテーマとしたことが感じられます。アンサンブルコンテストで使用できるように金管八重奏にアレンジしました。テンポ、アーティキュレーションダイナミクスの指定はありませんので、厳かな響きを楽しみながら皆さんのマーチを奏でてください。

 

【参考音源】

金管八重奏版(私がアレンジしたMIDI音源


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◆フィリップジョーンズ・ブラスアンサンブル

この演奏が全ての始まり。楽曲アナリーゼの基本にしたい作品。


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◆カナディアンブラス

金管五重奏なのに十重奏のような響き。これは素晴らしい。五重奏版もアレンジしてみようか。


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シナジーブラス

これも五重奏。とても個性的だけど凄く音楽的。


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◆ブラックダイクバンド

英国金管バンドでも。荘厳かつ柔らかな響きが美しい。


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イーストマンウィンドアンサンブル

吹奏楽でもアレンジされてるのですね。音楽づくりの参考に。


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【ラッパの吹き方考察】アンブシュアについて(1)過去のセッティングの反省

ラッパを吹く時に一番初めに習うことといえばアンブシュア。つまり口の形。調べてみるとスマイルタイプ、パッカータイプ、マジオ、スーパーチョップスなど様々なスタイルがある。また、マウスピースを上下で上寄りにセッティングするか、真ん中か下寄りか、とか左右ではどうかと、考え出したらキリがない。

僕が学生時代に先輩から習ったことは、Mという口の形を作ってマウスピースを当てて口角を左右にひいて固定する。アゴも猪木のようにって感じ。いわゆるスマイルタイプになるのかな。こう習ってから、ず~っとこのセッティングでやってきたけれど、、、今は真逆のセッティングに変えることによって、今まで悩んできたことが解決できてきています。

では、何に悩んできたのか。

それは持久力がないこと。一曲、最初から最後まで吹き切ったことがなかったんです。絶対に途中どこかで(しかも何度も)休まないと吹けない。幸い、これまで大きな編成の吹奏楽を中心にやってきているので、同じパートに複数名いるから、隣の人にココ休むからよろしく!ってお願いして、だましだましやってきた。

ところが!!オーケストラを始めると、1パート1人。吹奏楽に比べて吹くところは少ないものの、このままではマズイと研究を始めた次第。

それまでは、アンブシュアの研究もしたことがあったけれど、ハイトーンがどうしたら出るだろうということが主眼になって、マジオとかスーパーチョップスとかやってみたけれど、これらは自分には合わず、エリックさんみたいに吹くのは夢のまた夢だなぁと諦めて元のスマイルタイプに戻ること度々。まぁ、アンブシュアを変えただけでハイトーンが出るようになる訳ではないことは百も承知だけど。

話が逸れてしまいました。そう、持久力をどう克服するかが命題。口が疲れるのは何故かって考えたら、スマイルタイプだと口輪筋(唇の周りの筋肉)が引っ張られて薄くなって筋力として機能していないんじゃないかと考察してみる。では、筋力を機能させるためには筋肉をマウスピースを当てる部分に集めクッションのようにさせればいいのでは。つまりはパッカータイプかと試してみることに。

パッカータイプとは、一番分かりやす表現は、アダム・ラッパ氏の「上下の唇を中心に向かって力を加えつつ前に突き出す形」として、チンパンジーが唇を突き出している写真を載せていた。これだと確かに筋肉は唇の中心に集まりクッションの役割を果たすので理にかなっていると得心。

しかし、やってみるとバテなさそうだけれど何だかしっくりこない。唇もあまり振動しなくなったし、柔軟性もなくなってリップスラーもできない。これは時間をかけて慣れるまで我慢かと1週間ほど毎日やってみたけれど、どうも上手くいかない。今、思い返せばチンパンジーの写真を意識しすぎて突き出し過ぎていたんだなぁと反省。でも、考え方の方向性は合っている!

 

なかなか、文字や写真で理解するのは難しいですね。過ぎたるは及ばざるが如し。本来であれば先生と呼ばれる方に指導いただくことが一番なのだろうけれど、何故か、ネットに溢れる情報の中から答えを探し出そうと遠回りをしてしまっています。これを見ていただいている方も、受け取り方によっては誤った方向に行ってしまうので、あくまで僕の体験談ということで、参考になることがあればご利用くださいというスタンスでお読みいただけると幸いです。

 

今日はアダム・ラッパ氏の演奏動画を。このような童謡でも震えるくらい感動的!


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【楽譜出版】Canzon septimi toni No.1(第七旋法による八声のカンツォン 第1番) / Giovanni Gabrieli (ガブリエリ)

表題の楽曲をトランペット・トロンボーン八重奏版でアレンジをし、ミュージック・ベルズさんより出版いただきました。

 

【楽譜購入はこちら】トランペット・トロンボーン八重奏版

 

この楽曲も一つ前にご紹介した第七旋法による八声のカンツォン 第2番と同様にかつてアンサンブルコンテストで大流行しました。音域もあまり高すぎず、かつ非常にメロディックで和声が美しい曲で、是非取り組んでいただきたい楽曲です。勿論、この曲も全国大会でよく聴くことができました。

 

【参考音源】

◆トランペット・トロンボーン八重奏版(私がアレンジしたMIDI音源


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◆淀川工業高等学校(1989年のアンサンブルコンテスト全国大会にて:金賞)

私が高校生の時に初めてアンサンブルコンテスト 関西大会で聴いたのですが、演奏はあの淀工!最初のトランペットのE♭の音色に痺れました。そして美しくも力強いハーモニーと流れるメロディライン、これが超一流の演奏か!と驚愕したことを今でも鮮明に覚えています。その演奏がニコニコ動画に上がっていました。録音の状態も悪く、古い音源で、何より生演奏ではないので、その時の感動は伝わらないかもしれませんが、それでも凄い演奏というのがよく分かります。

https://nico.ms/sm8461862 (クリックしてどうぞ)

 

◆光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部(2016年のアンサンブルコンテスト全国大会演奏曲目)

全国大会演奏曲を定期演奏会で演奏した時のレコーディング。なんと柔らかく美しく軽やかなアンサンブル。淀工とは真逆のスタイルで同じ曲でもこれほど違うのかと面白いですね。個人的にはこちらの演奏の方が好みかなぁ。今の高校生って、本当に素晴らしい演奏をされるんですね。


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イーストマン・ウィンドアンサンブル
イーストマンもこの曲を録音しているんですね。やはり一流のプロ。美しく余裕がある。そして音楽表現も一線を画す。この楽曲の多くの可能性を感じさせてくれる演奏です。


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