【ラッパの吹き方考察】息の吐き方について(1)柔らかい音、張りのある音
学生時代に習った方法は、寒い日に手を温めるような暖かい息を出すこと。喉を大きく開けてベルカント唱法のようなイメージで、ということだった。
社会人になった頃、一部の間で、藤井完氏のベルカント奏法というのが流行って、学生時代からやってきたことは間違ってなかったんだ!とのめり込んでいったことを今でも覚えています。
この奏法、音色がとても柔らかくて美しくなるんです。小さなよく響く部屋で吹いたらプロよりもいい音?と錯覚するような。そう、正に錯覚。
先生について正しくベルカント奏法を身に付けていたら別かもしれないけど、文字だけ追って自己流でやってると、きっと本質を掴めていなかったのでしょう、やはり、幾つかの問題を抱えていました。
一番の課題は、そば鳴りしかせず、遠くまで音が届かないこと。そりゃそうです、暖かい息=スピードのある息ではありません。なのに大きな音を出さなければと無理矢理大量の息を入れる感じで。吹いてる自分はよく聴こえるけれど、離れたところで録音すると自分の音は周りに埋もれて聴こえない。疲れるし音は届いていないしで、何と効率の悪いことか。
逆に考えて、要は、スピードのある息を出せば解決することは頭では分かってはいたのですが。でも、そうすると、あの柔らかな音を捨てなければならないのかと煮え切らない思いで。先にも紹介しましたロルフ・スメドヴィク氏、めちゃくちゃ柔らかい音を出す時もあれば、ハリのある輝かしい音もだす。きっちり吹き分けられてるんですよね。そこに注視するべきでした(いや、スメドヴィク氏ともなると、柔らかい音でかつ遠くに届いているはずではありますが)。今の吹き方はこれはこれとして自分の引き出しにしまっておいて、張りのある遠くに届く音をどうやって吹くかに絞って考えることにしました。
◆スメドヴィク氏の溶けるような柔らかな音!
◆一方で、張りのある輝かしい音!